カラダが談志を欲してる
日。
「『まんが道』その後」を描いた藤子不二雄Aの名作「愛・・・しりそめし頃に―満賀道雄の青春」の最新刊の第7巻が2月に出ていたことを知って、先週末アマゾンに発注。
前の晩に受け取る。
読みたい本が次々たまる。
少し前にYouTubeで、立川談志の1980年の舞台を見た。
もちろんしゃべりも面白いのだけれど、この談志の声がとても気持ちよくて、この動画をiPodに入れて、しばらく寝る前のBGMにしていた。
その少し前に、ブランの練習後、シモダさんが談志の話をしていたのも頭に残っていた。
ちょっと前に「情熱大陸」という番組でやっていた、70歳を超えた談志が、自分の病気と老いと戦いながら舞台に立ち、自分自身の芸と向かい合っているドキュメンタリーも良かった。
カラダが談志を欲している。
どうも、談志が気持ちいいぞ。
そんなわけで最近週いちのペースで近所の図書館に通って、全部で50巻近くある、談志の「ひとり会落語CD全集」を少しずつ少しずつ借りている。
CDの貸し出しは1回に付きひとり2枚まで。
ところが、ついつい「あ、これ持ってなかったな」と他のロックの名盤にも目移りしてしまって、「談志1枚+他の1枚」という組み合わせになってしまう。
この時も気が付いたらリバティーンズ「リバティーンズ革命」を手に取っていた。
これってイキが良くて今、流行ってるバンドなんだよね。
やっぱりさ、そういうのも聴いときゃなきゃ、この厳しいロックの世界でやっていけないものね。
・・・・え? 出たの2年前?
さて。
これじゃ、「もっと聞きたい」って時に物足りなくなるのは必至なので、近い内、2枚借りてはMP3にしてPCにインポートして、図書館に返して、また2枚借りてはMP3にしてPCにインポートして、また2枚借りて・・・と丸1日を「談志の日」にしようと思う。
とは言え、この何十枚の中からどれを優先して借りようかというと、いつもちと迷ってしまう。
「黄金餅」「お化け長屋」「目黒のさんま」など、一部ピンと来る古典落語のタイトルはあるものの、私の知識は圧倒的に少ないのです。
やはり水先案内が必要だ。
そう。
中学1年の時、英語の授業で「Hello Goodbye」を教材に聞いて(この話は以前書いたな。ここの「中一英語のビートルズ」参照)ビートルズに出会った。それから初期のアルバムやペスト盤を聴いて、そのポップさにすっかり夢中になって、「さぁ、次は」と友達から借りたのが「Abbey Road」というアルバム。
1曲目の「Come Together」が始まった瞬間、「これが本当にビートルズなの?」と耳を疑ってしまった。
13歳の僕には
「ゆーせーいいぇす、あいせーのー」
「しーらぶずいぇー、いぇー、いぇー」
「あうぉなほーよー、はー」
の世界からビートルズの有終の美「Abbey Road」の音はあまりにかけ離れていたのです。
(とはいえ「Hello Goodbye」から「Abbey Road」の間なんてたかだか2、3年なのだけれど・・・)
この時、少しビートルズを聴き進めることを躊躇した。
いやいやそんなことになってはいかん。
やはり水先案内が必要だ。
というわけで、せっかく来た図書館。
落語本を当たってみることにする。
そこで「まさにこれだ」という本を発見。
要は、古典落語の名作のあらすじと、噺家ごとの味わいの違い、そしてそれが収録されたCDの紹介が乗っているという構成。
この本の使えるところは、巻末にタイトルの索引とともに、掲載CDの噺家別索引が付いているところ。
こいつで立川談志のところを紐解けば、談志の古典落語の名演と収録CDが一目瞭然。
まずはこれに習って順に借りていくことにする。今日は「らくだ」(完演版)の入った「ひとり会落語CD全集(4)」のDisc3を借りることにする。「古典落語CDの名盤」(光文社新書)も借りる。
家で瞑想して、落語聞いてって最近一体何をしてるんだ(笑)。
しかしところでおなじみのお話「黄金餅」。
冷静に考えると死体を切り刻んで腹の中から金を取り出して盗むというなんともグロテスクなお話だったりする。学生の頃聞いた志ん生の「黄金餅」も気持ちよかったけど、談志のもドタバタ漫画を見ているようでホント楽しい。大好きなお話です。
ところで。ところで。
確か中学の頃だったと思う。
当時近くに住んでいた春日部のIトーYカドーで、カセット5〜6本が箱に入ったなんたら落語全集というのをバーゲンで格安で買った。当時の小遣いで買えたくらいだから2千円かそこらだった記憶している。
確か当時の自分にとっては「笑点」で名前を見たことがある噺家が数人入っている程度で、他は知らない噺家ばかりが収録されていたと思う。
特に落語が好きだったわけでも、「笑点」も別に熱心に見ていたわけではないのに、どうしてそれが欲しくなったのか、さっぱりわからない。
けど多分「全集」という言葉に「これを聞けば落語のすべてがわかるんだな」というトキメキを覚えたのではないかと察してみる。やはり「○○○のすべて」だとかアンソロジー、全集、コンプリートなんたらという言葉には未だに弱い。
で、その中に1本特に好きな巻があって、カセット5〜6本の内、ほとんどそればかり聞いていたというのがあった。
父親の車に乗って出かけるときに助手席に座ってそのカセットをかけた風景が今でも思い出せる。
寝る時といえば小学生の頃から耳元にラジカセをおいて音楽を聴きながらでないと眠れなかった。そんな時にもこの1本を何度も聞いた。
決して爆笑できるわけではないのだけれど、すごく楽しい気分になれた。
気持ちよく眠れた。
その噺家は一体が誰なんだろう。
その時のネタは、一体何だったんだろう。
気になって仕方が無くなってしまった。
あのなんたら落語全集、今も実家に帰れば押入れから見つかるだろうか。