(以下、なぐり書きラフです。)
元祖女性イリュージョニストとして近代奇術史に名を残す松旭斎天勝。
その美貌故の人気か、確かな技術と和洋折衷のダイナミックな舞台の素晴らしさか。
資料で目にするサイケデリックな色彩豊かなイメージのポスター。
宝塚か、なんたら歌劇団かといった派手派手しい化粧で演技にをする姿が撮られた写真。
松旭斎天勝とは一体何者なのか。
急に気になって仕方がなくなってしまったのです。
2010年1月に水芸・手妻を現代に伝える奇術師藤山新太郎氏にお会いした時、
「奇術師は天一・天勝のような一座を構えて公演する方と寄席に出演するような単独で演技をする方に分かれる」
という話がありました。
長年追いかけている奇術師アダチ龍光はもちろん後者。
「一座を構えて公演する」奇術師のことを私は全く知らないのです。
和妻・手妻と呼ばれる日本伝統の奇術に、西洋マジックを取り入れて、初めて人気と成功を獲得したと言えるのが、天勝の師匠にして、天勝を愛人にした天一です。
天一の弟子にはあの天洋もいます。
手品グッズメーカーの大手として現在も名を大きく残すテンヨーの祖であり、好好爺のイメージも強いですが、一方で晩年まで奇術界での権威にこだわり、龍光を交えた奇術協会分裂騒動を起したとも伝えられる方です。
天洋の弟子には引田天功が。
天功も龍光と常に「光と影」の関係として、時にまばゆいスターとして光となり、時にどす黒い影となって入れ替わり交わったと聞きます。
私は、脈々とつながる、この奇術史マンダラを紐解かなくてはならないのです。ここで、次に松旭斎天勝を知らなくてはいけないのです。
勝手な使命感ではありますが、松旭斎天勝を追いかけてみたいと思います。
現代にも続く松旭斎と、天勝はどうも隔絶したものに感じてならないのです。
いやしかし、奇術協会歴代会長を見ますと、
4代目会長 アダチ龍光
5代目会長 松旭斎天晴・・・・天洋兄弟弟子
6代目会長 アダチ龍光
7代目会長 松旭斎広子・・・・天勝弟子
8代目会長 松旭斎すみえ・・・・天二(二代目天一)曾孫弟子
奇術界の松旭斎の力恐るべし。
松旭斎広子までは追いかけなければならないでしょう。
しばらく松旭斎天勝に恋することに決めました。
【以降参考資料】
・(社)日本奇術協会創立70周年記念誌「70年の歩み」
・季刊「不思議」創刊号(マジックマガジン社)
・藤山新太郎「手妻のはなし 失われた日本の奇術」(新潮選書)
・Wikipedia http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%BE%E6%97%AD%E6%96%8E%E5%A4%A9%E5%8B%9D
・松旭斎天勝「魔術の女王一代記」 到着待ち中
・丸川賀世子「奇術師誕生―松旭斎天一・天二・天勝」 到着待ち中