小朝に学ぶ
高田文夫の芸人対談集「笑うふたり」(中央公論社)を一気に読む。
初出が雑誌「プレジデント」の連載とは意外。高田のテンポよく的確な質問や突っ込みが見事。それに乗ってしゃべりまくる伊東四郎や欽ちゃん、三木のり平、谷啓、そして特に当時都知事の青島幸男なんかが絶品。
先日のナベプロ渡辺晋の生涯を追ったドラマで青島を演じた(・・・えー、名前忘れた、映画「めぞん一刻」で五代を演じた)なんとかさんの、ひょうひょうとした姿そのままの語り口がたまらない。いやいやこっちが本物なんですな。
さて。この本で、初めての武道館公演に臨む直前の春風亭小朝が「落語を聞きに来ているお客さんは『笑いに来ている』のはもちろんだけれど、それ以前にまず『楽しい時間を過ごしに来ているのだ』」みたいなことを語っていて、確かに当たり前のことながらとても響いた言葉だった。
落語がうまいのは、わからないなりにわかる。けれど、江戸っ子と言うのとは違う「東京の人」といった感の小朝のちょっと気取った印象が元々あまり好きではなかったというのが正直なところ。
なのにここのところ何度かインタビューやテレビ出演での発言に触れる中で、演者としてだけでなく、自分をどう新しく高めて見せて行くか、そしてこぶ平の正蔵襲名イベントをプロデュースするなど裏方としての冷静、かつこちらがワクワクするようなアイデアマン振りにしびれていたりした。
「落語を聞きに来ているお客さんは『笑いに来ている』のはもちろんだけれど、それ以前にまず『楽しい時間を過ごしに来ているのだ』」
全くその通りで、折角音楽を聴き、体感しに行くなら気分良い環境で聴きたいだろう。身動きの取れないような、タバコの煙だらけの場所には出来れば行きたくはない。そしてその要素はもちろん「心地よい空間」という話だけではないだろう。
「何月何日、どこそこにブランのライブを見に来て下さい」という話では、やはり何かが足りないのかもしれない。
もちろん「来て良かった。見て良かった。」と唄と演奏で圧倒させるのは大前提。そしてもうひとりの自分がそこにもうひとひねりを追加することを模索しなければいけないのだろう。
安直に媚びを売る話ではないだろうし、MCすりゃあいいって話でないくらい10年以上やってりゃわかる。
で、じゃあその答はなんだと自問自答。9月9日の生ブランまでに答えが見つけられたらうれしいです。
是非楽しい時間を過ごしにご来場いただけましたら幸いです。http://www.tonreco.com/live.HTM