ナベプロとテレビの黄金時代
先日の渡辺晋の人生とナベプロテレビ黄金期を描いたドラマ。
録画してこの間の土日に夢中になって一気に見た。
まだ戦後の匂い色濃く残る時代に、「大して楽器弾けなくても在日米軍相手にそれっぽくしてればバンドマンでそこそこ稼げる」と即動く、そして来たるテレビ時代の幕開けに、タレントを集めて芸能プロダクションを設立する、その嗅覚の鋭さ、そしてそこに時代が、そして当時はまだまだ無名のすぎやまこういちや、クレージーキャッツ、青島幸男、宮川泰など才能ある人が呼応するのがたまらない。そして、クレージーキャッツの出世作「おとなの漫画」や音楽バラエティ「ピットパレード」「シャボン玉ホリデー」と次々とヒット作が産まれていく。
その興奮の勢いで数少ないが、このテレビ黄金期を描いた関連の本を引っぱり出してみる。
小林信彦「テレビの黄金時代」、荒俣宏「TV博物誌」。
そうなんである。
この手の本では、ナベプロがテレビ時代幕開けに、大きな功績を残したことを認めつつも、ナベプロ帝国、ナベプロ権力の罪や、そのアンチとして日本テレビの井原高忠をはじめとするレビ第2世代が登場した様がメインに描かれ、「ナベプロ=テレビ界の権力にしてうち倒すべきもの」という図式とされることが多いのだ。
パイオニアの宿命かもしれないし、あのドラマのような綺麗事ばかりでは同然なかっただろう。
特にドラマで「日本にエンターテイメントを文化として定着させたい」として、財界人とのつながりに躍起になる下りは、現実渡辺晋の権力思考をソフトに表現したところなのだろう。
でも、とにかくつき動かされて止まらなくなっている渡辺晋は、ある時期他者から批判される対象だったのもしれないが、極めて純粋にそうしたかったのだと信じたい。ドラマの中で何度も出てくるセリフ「バカが付くほどエンターテンメントが好きで」というのは、一部綺麗事、でも結構本気なのだと思う。
色々と元気付けられたドラマだった。